ビットコイン市場分析 : 多資産ネットワークが示す暗号資産市場の独立性とポートフォリオ分散効果
ビットコイン市場分析 : 多資産ネットワークが示す暗号資産市場の独立性とポートフォリオ分散効果
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Original abstract
本研究では,株式・債券・コモディティ・為替などの伝統的資産クラスとの比較を通じて,ビットコインのリターン特性の独立性とポートフォリオ分析効果を検証した。各資産の週次リターンデータの相関行列に基づくネットワークの可視化,および中心性指標(次数・固有ベクトル・媒介・近接)に基づく評価の結果,ビットコインは他の主要資産と比べて独立性が高く,多資産ネットワーク上でも周縁に位置することが確認された。さらに,主要ETFとビットコインから成るマルチアセット・ポートフォリオについてモンテカルロ・シミュレーションを行い,シャープレシオおよびソルティノレシオでリターンのパフォーマンスを評価したところ,ビットコインの組み入れは両指標を改善させる一方,下方リスクを重視するソルティノレシオの最大化においてはビットコイン比率が相対的に低く抑制されることが示された。加えて,ビットコイン固有の価格変動特性の背景にある市場参加者の関心を把握するため,ビットコイン関連のX(旧Twitter)ポストデータに基づく共起ネットワーク分析を行った。結果,米国金融政策,とりわけその判断材料となる雇用統計への,市場参加者の関心の高さが示された。そのため,雇用統計の公表前後に焦点を当て,Xポストデータと高頻度価格データを検証したところ,発表に向けて関連ポストが増加し,発表直後にはClose-to-Close,Parkinson,Garman–Klassの各推定量においてビットコインのボラティリティが急上昇することが確認された。以上の結果から,ビットコインは伝統的資産とは異なる独立的な価格変動メカニズムを有しつつも,マクロ金融環境には敏感に反応する資産であることが示された。したがって,ビットコインへの投資はリターン向上と分散効果の面で有用性を持つ一方で,その組み入れ比率の設定には下方リスクを踏まえた慎重な判断が求められる。